今日のテーブルゲームのある風景は「ユグドラサス」です。
国産ボードゲームシリーズとして「カイジュウ オン アース」三部作として作成されてきたシリーズ最終作が「ユグドラサス」です。
一作目が「ボルカルス」、二作目が「レヴィアス」ときて、いずれも怪獣側と人間側に分かれて非対称として対戦する形がとられていたのですが、今回の「ユグドラサス」は全プレイヤーが人間側です。
私個人としては「ディセント」などの立場も戦力も違う形での対戦ゲームが大好きで、「ボルカルス」などは非常に楽しませて頂いていたのですが、「自分が有利に戦う為にボルカルスがしたい」というのを聞くのが非常に悲しい気持ちになっていたのも事実です。
勝ちだけを至上命題としてボードゲームを楽しむという部分を伝えていない様子なのにも軽くショックを受けましたし、戦力差があるゲームの物語性等を参加者全員で楽しむ方向性になれずに勝てばいいんだという形にしてしまうのはファンとしてやりきれない気持ちにもなってしまいました。
もちろん楽しみ方は人それぞれですが、そうした行為をする事で他の人が楽しめる環境になれない、または楽しめたであろう人の楽しみを奪う形になってしまうのは、せっかくの国産ボードゲームプロジェクトとしてあまりに切ない話になってしまうなぁ、と思う時もあったのですが、今回は通常の対戦ゲームになってちょっとほっとしました(いや、ほっとするようではいけないのでしょうけど・・・)。
閑話休題。
さて、この「ユグドラサス」ですが、クラウドファンディングで資金を集めて作成されたのですが、そのプレゼンテーションのうたい文句のひとつが「プレイ時間1日!」というものでした。
ウォーゲームだとざらにあると思うのですが、通常のボードゲームではなかなか聞かないプレイ時間ですのでどんなゲームになるのだろう、どれほど複雑な処理を要求されるのだろう、あまりに面倒な処理ではプレイヤーを限定しすぎてしまうのではないだろうか、などと様々な事を考えて、実物を目にしてルールブックを拝見するまでドキドキしていたのですが、結果からいうとかなり普通で時間に関してはそこまで大変なものではなく、ボードゲームを熱心に楽しむ方にとってはそれほど大変な時間ではない感じで心配は杞憂でした。
初めてのプレイでルールブックを何度も確認するような感じで二人プレイ4時間といった感じで、一度プレイしたなら多分2度目は参加プレイヤー1人当たり1時間といったところにおちつくのではないかと思います(実際「ユグドラサス」の外箱にもそう書いてあります)。
プレイボードと個人ボードと個人用タイルの配置スペースとうがそこそこ以上の場所をとるので、二人でプレイするにしてもコタツ机サイズではともてたらず、会議用長机を2つ並べたスペースが必要になってくるので、一般家庭ではちょっと難しいのではないかな、と感じました(もちろんそうしたサイズのテーブルをお持ちのご家庭の方は素晴らしいと思います)。
各プレイヤーは世界各国のリーダーの1人となり、世界中に出現する植物型怪獣の退所しつつ、難民を出来る限り受け入れて、自国が世界に貢献している事をアピールする事がこのゲームの目的となります。
そうなんですよ、誤解を恐れずに言えば実はこの「ユグドラサス」怪獣討伐ゲームではないのです。
得点を得る為には難民を保護し、自国の貢献度(カリスマポイント)をいかにあげていくかが目的となっていて、その為に怪獣に攻撃をしかける事はありますが、ゲーム終了の瞬間まで怪獣を倒せているかどうかはまったく関係なく、ゲームが終了した段階で怪獣がぴんぴんしているなんてシーンはざらにあるのではないかと思います(笑)。
事実怪獣の討伐はゲームの終了条件にまったく関係ありません。
ゲームが開始されたなら、プレイヤーはそれぞれ自分の手番で2アクションを行い、全プレイヤーが手番を行ったならば怪獣の処理が一度入り、それを1ラウンドとして4ラウンド行ったら1年が経過したとして得点計算の決算を行って次の年度に入り、これを3年12ラウンドたったらゲームが終了して最終決算を行うスタイルとなります。
各年度の開始時には難民が規定の人数きて、さらに特殊施設のタイルや自分のアクションのバリエーションを増やすタイルなどが配布されます。
自分の手番では約7種類あるアクションを漢字1文字で表現したタイルを並べてある個人タイル置き場を利用して、並んでいる2カ所のアクションが実行できる事になります。
アクションについては通常のアクションと資金を払っての強化アクションなどが用意されていて、最初少し大変だと思うのですが、かなりよくできているサマリーがプレイ人数分用意されているので、それを片手にプレイすればなんの混乱もないでしょう。
基本的にはアクションは自国の軍事ユニットを動かして事件を解決して資源や資金を得るとともに個人目標による得点を得る行為と、自国の施設を建設して難民受け入れ態勢の強化や軍事ユニットの増産、または強化といったもの、そして個人ボードの強化によるやはり軍事ユニットの強化と特定の資源および得点強化という3種類に大別されています。
選択肢はタイルの並びによってある程度制限されていて、並んでいる2アクションのどれかしかできないので、そこは割り切ることになりますし、プレイの指針にもなりやすいのでよくできていると思います。
各年度末の得点計算時に難民をどれだけ引き受けられるかがメインの得点源になるとともに、基本的に個人ボードの強化時に権利をえられるゲーム終了時の加点要素の確保が中心になるのではないかと思うので、そのあたりもすっきりとしたスタイルで見通しがよいので、プレイしていて辺にブレる事なく楽しんでいけるのではないかと思います。
また、世界中に出現する怪獣の雰囲気と、自国の軍事ユニットによる攻撃などが非常に怪獣映画をイメージ出来るように配慮されていて、そのあたりがナラティブなプレイ感を出していてすごく好感が持てました。
最初のとっつきはちょっと悪いかもしれませんが、非常によく出来た面白いゲームですので、怪獣映画ファンの方など是非一度プレイしてみてほしいゲームです。
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