

今日のテーブルゲームのある風景は「アンドロイド:ネットランナー」です。
2人専用のカードゲームで、マジック・ザ・ギャザリングなどのデッキ構築して対戦するカードゲームをイメージして頂ければほぼ間違いありません。
ただ、この「アンドロイド:ネットランナー」についてはリビングカードゲームと呼ばれて、いわゆるトレーディングカードゲームとは一線をひくものとなります。
率直な意見になりますが、マジックザギャザリングなどのトレーディングカードゲームの現状はスマホのアプリに課金するがごとく、まともに対戦するには相当の課金を必要とする傾向が非常に強くなってきていて、お金をかけた方が基本的に強いアイテムを入手するのもアプリゲームと構造的にそっくりになっているように感じます(そうしなくても遊ぶ事は出来るという言い方も、アプリゲームの無課金でも何とかなるよ、という言い方にそっくりです、個人的にMTGは大好きだったのでそうなってしまったと感じるのは非常に悲しい事なのですが)。
この「アンドロイド:ネットランナー」はそうしたTCGとは異なり、いわゆるボードゲームのように一つ購入したならばそれで投資は完結しています。
TCG的な感覚で言えば、構築済みのデッキが7つ入っていて、それを使用して遊ぶ対戦ゲームなのです。
そしてよりボードゲーム的な部分として拡張セットがある程度出ているのですが、これは言ってみれば追加エキスパッションと同じと考えてよいものの、それらはランダムなカードセットではなく、TCG的な言い方をすればフルコンブセットという商品形態で発売される形となっているのです。
当然レアリティといった区分もなく、無理してシングル価格という二次商売に付き合う必要もありません。
対戦するプレイヤー同士、ボードゲームの基本概念である完全に互角の条件化(資金的に所有カードリソース的にという意味でです)で席にすわる事が出来ます。
所有カード力による差がでないので、レアカードの威力というものさしもありません。
あるのはプレイヤー同士の駆け引きというゲーム本来の楽しさの部分という事になります(拡張セットを購入するかどうかという部分がありますが、日本語版のみでプレイしている限り現状では発生しませんし、仮に日本語版で拡張が出たとしても投資額を考えると誤差の範囲に思えます)。
何を言いたいかといえば、「アンドロイド:ネットランナー」というボードゲームはTCGの対戦ゲームのゲームの部分を非常に上手に抽出した商品になっているという事です。
対戦を楽しむ事ができ、デッキ構築の楽しさもあり、ゲームにおいては駆け引きやプレイングの妙によって勝敗が決まる比率が高い(つまりゲームが好きな人にとっては満足度が高い)といえるものだと思います。
逆に言うとTCGのトレーディングの部分、つまりカードをコレクションしていく楽しさについては味わえないのですが、TCGでトレーディングによるカードコレクションをのんびり楽しんでいるユーザーはゲームの部分を重視しないはずですので、ボードゲームをプレイする機会も少なく、その部分によるマイナス要素は考慮しなくても良いように思えます。
とはいえ困った事もあります。
「アンドロイド:ネットランナー」はそのゲームの背景テーマとして近未来のサイバーパンク的な世界観の中で、巨大企業であるコーポレート側と自由に生きるハッカー達であるネットランナー側との対戦という形になります。
その雰囲気を大事にするあまり、コーポレート側とネットランナー側では同じ「アンドロイド:ネットランナー」をプレイしているのにまったく違うルールを利用してプレイしているのです。
つまり、「アンドロイド:ネットランナー」というゲームをお客様に説明しようとする場合、通常のゲームと異なりコーポレート側とネットランナー側の二つのルールを説明しなければならないのです。
カードとしてもコーボレート側とネットランナー側のカードはまぜる事は出来ませんし、カードタイプすら全く違います。
これはネットランナー側でプレイした事がある人がコーポレート側でプレイしようと思うと、違うゲームを覚える感覚になるという事で、二つのシステムを同時に把握したくなるのがゲームをプレイして楽しみたい方の人情というものなので、敷居が高くなる傾向があるという事を意味してしまうと思います。
また、違うシステムで対戦するという特色は新鮮ですが、その特色ゆえに「同じルールで優劣を競いたい」という部分を重視されるプレイヤーさんにとっては不公平な感覚を覚えてしまうかもしれません(相手が出来る事が自分は出来ないという前提でいくつかのルールが成立しているからです)。
とはいえ、そこら辺がこのゲームの魅力でもあり背景世界を十分に感じられるプレイ感をかもしだすことに成功していると思います。
ちなみに蛇足になりますが「アンドロイド:ネットランナー」というゲームそのものはマジックザギャザリングを生み出したリチャード・ガーフィールド氏がもともとは作っており、その後版権をボードゲームを多数だしているファンタジー・フライト社が買い取ってルールをある程度修正して現在にいたっているというのも面白い部分だと思います。
そういった経緯からMTGのオールドユーザーにしたならば、駆け引き重視のプレイ感は非常に琴線にふれる、熱い想いを再び滾らされるものではないかと思います。
また雰囲気を大事にしている部分のあるカードゲームですので、シャドウランや東京NOVAといったTRPGにおけるサイバーパンクの雰囲気が好きな人などは思わずニヤリとしてしまう用語が飛び交うことになり、とくにシャドウランでのハッカーの雰囲気は非常に似ていて楽しいと思います。
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